Archive for November-2006
ニャンコに癒される
2006-11-01 17:00:00
編集者ほど、女扱いされない職業はないと思う。徹夜続きでフラフラになりながらも、今日も作家との打ち合わせのため新宿から横浜へ。気難しいセンセイのご機嫌取りに、疲労困憊。這うようにして横浜駅に戻る途中、かわいい子ニャンコが、「ニャー」とわたしを呼び止めた。

10分くらい一緒に遊んだだけで、疲れがすっかり癒されるから不思議。ムッスリしていた顔が、いつの間にかニッコリになっているのが自分でも分かる。眉間に皺が寄ったときは、また会いにこよう。
会社に戻ると、今度は企画書作り。「今日は絶対、終電までに帰る!」いつもの3倍速でタイピング。頑張った甲斐あって、終電ギリギリで中央線に滑り込めた。最寄り駅から徒歩10分のアパートへ、急ぎ足で帰る。
真っ暗な我が部屋に、3日ぶりに帰還。台所にたまった洗い物だけが、わたしを待っていた。ポーチからデジカメを取り出し、昼間のニャンコと再会。ヨシッと気合を入れなおして、エプロンを締めた。
3匹のニャンコ
2006-11-07 17:00:00
しかし日頃のつきあいの悪さがたたってか、休日を一緒に過ごす友だちはだれ1人つかまらない。しかたないので、コンビニで弁当を買い、近くの公園で食べることにした。特に心躍るプランではないけれど、自宅にこもってテレビと向き合っているよりはましだろう。休日だというのに、公園にはだれもおらず、3匹の猫がひなたぼっこをしている。公園内はまるで人間界とは別の場所のように、とてもゆっくりした時間が流れている。締め切りとか効率といった言葉は、ここには必要ない。

弁当を食べていると、においを嗅ぎつけたのか、1匹の猫がやってきた。
僕の足にすり寄っている。おなかが空いているのだと思うのだけど、残念ながら弁当はあらかた食べてしまった。かろうじて残っていた漬け物をあげてみると、一度ほおばったのだけど、すぐに吐き出してしまった。びっくりしたようなその仕草がおかしくて思わず笑みがこぼれる。そのあと猫は僕から砂場へと移動して、昼寝。僕は持ってきた小説を開く。3匹の猫と僕は、日が沈むまで公園にいた。
警戒するニャンコ
2006-11-13 17:00:00
前職にはどうしてもやりがいを感じられず、後先考えずに辞めてしまった。
しばらくはのんびりするのもいいかな、なんて思っていたのだけれど、グータラ生活も1周年をむかえて、さすがに貯金も乏しくなってきた。
働かなきゃいけないとは思うのだけど…どうにもやる気が出ない。人間はどうして働かなくてはいけないのだろう?…なんて子どものような悩みを抱きつつ、漫画喫茶でまったりしようと外に出る。
黒い猫がいた。目つきが鋭く、かなり男らしい猫だ。

猫は思いっきり警戒しているが、猫好きな僕としてはちょっかいを出さずにいられない。とりあえず写真をパチリ。猫はまだじっとこっちを睨んでいる。
スキンシップを図ろうと近づくと、猫はするどく身を返し、ものすごい勢いで逃げ去っていった。そんなに嫌わなくても…と悲しくなると同時に、猫の警戒心の強さに少し感動した。あの猫は生きていくことの大変さを知っている。
猫だって人間だって、生きるためにはいろいろやらなくちゃいけないことがある。
僕はコンビニで就職情報誌を購入し、自宅へ戻った。
駐車場のトトロ
2006-11-15 17:00:00
その猫はあまり活発ではなく、どちらかというとおっとりタイプ。近所の住人にかわいがられているらしく、おばあさんや小学生にエサをもらっている場面を何度も見かけた。
ジブリ作品が大好きなわたしは、平和なオーラを醸し出すその猫を「トトロ」と名付けた。

毎日トトロを見るのが日課になっていたのだけれど、ある朝、トトロがいなかった。朝も夕方も見かけない、というのははじめてだった。次の日も、その次の日も、トトロは姿をあらわさなかった。
事故にあったのかも…、と気になっていたのだけれど、そんな心配は無用だった。
次の朝、トトロは当たり前の顔で、いつもの駐車場にいた。
わたしはなんとなくうれしくなって、トトロに近づいた。
首の下をさすりながら、
「どこにいっていたの?」と聞いてみる。
もちろん返答はない。
「サツキやメイと遊んでたんでしょ」
トトロは相変わらず知らんぷり。
でも、その表情は笑っているように見えなくもなかった。
肩身が狭い同士
2006-11-17 17:00:00
仕事が深夜まで長引き、ひと息いれようと立ち寄ったプレハブ小屋から出ようとすると、ガラス越しにキラリと光る目と目があった。

最近この辺りでよく見掛ける三毛の野良猫だ。
11月ともなれば朝晩は冷え込むし、さらに今晩は雨も降っている。
雨風あたらない場所を探しているのかな…
でも『建物にノラネコを入れないでください』って、そこら中に張り紙が貼ってあるしな…。
困ったな、と思いながら引き戸を開ける。
私の足元をすり抜け、素早く小屋にすべりこむ…という安易な予想を裏切り、しゃがみこむ私の隣でおもむろに毛づくろいを始めた。
ひとしきり小綺麗になる儀式を終えると、私を見てひとこえ、ニャァ。
そうか。おまえも普段煙たがれて、肩身の狭い思いをしているのだね。
今度は迷わず、こっそりプレハブ小屋に入れてやろう。
猫はにゃーにゃー
2006-11-20 17:00:00
言葉を覚え始めた息子は、目新しいものを見つけては「あれはー?」と聞いてくる。
それは道端に放置してあるバイクだったり、工事現場のブルドーザーだったり、目の前を猛スピードで通り過ぎていく車だったり。
私はその度に、「あれはね、ばいく。あれはね、ぶるどーざー。あれはね、ぶーぶー」と機械的に答える。
だって保育園に向かう自転車を漕ぐのに必死なの。
朝は戦争なんだから。ひたすら前を見て、車にぶつからないように、あの信号に間に合うようにって、頭の中はそればかり。
「あれはー?」
今朝もまた、義務的に息子の指差す方向を見る。
日向でごろんと横になったまま、おなかをぺろぺろと舐めていた。

一瞬で通り過ぎて、「あれはね、ねこ、だよ」。
いつもと同じように答えると、息子は頭をひねって私を見た。
「にゃー?」。
・・・あれ?私、猫がにゃーって鳴くって、教えたっけ?
なぜだか、いつもの道をちょっとだけ遠回りしてみる気持ちになった。
疲れるからといつもは避けて通る坂道。
懸命にペダルを漕いで登りきると、待っているのは急勾配。
ペダルを放して一気に降りる。
息子がきゃー!と歓声を上げる。
私の髪を風がなでる。
冷たい空気を感じて、もう冬が来るんだなぁって思う。
保育園までの道のり、息子は楽しそうに「にゃー!にゃー!」と鳴き真似を続けた。
それを聞いていたら、なんだかとっても嬉しくなった。
あの猫が、明日もまたあの場所にいてくれるといいな。
Category : お昼寝ニャンコ猫の会議
2006-11-24 17:00:00
急にぽっかり休みができた。
何をしようか悩んだ挙句、散歩に出ることにした。
久し振りにたくさん歩いた。
天気が良くて、とても気持ちがいい。
空気は冷たいのに、少し汗ばんでくる。
毎日せわしなく過ごしているわりに、ほとんど歩いていないことに気がつかされた。
声に出さなくても伝わるのか、お互い顔を見合わせたまま、黙って座り込んでいる。
しばらく見ていると、ギャラリーが気になったのかお開きになったようだ。

猫たちが去ったので、私も帰ることにする。
たくさん歩いて疲れているかと思ったら、気分転換になったのか逆に元気になった。
開く気になれなかったパソコンを開いて書類をチェックする。
今日は数字の羅列も苦にならない。
そうだ、明日は会議があった。
きっとまた、話し好きの課長に時間を拘束されるに違いない。
あ、うんの呼吸で会議が進めばいいのに。
猫の会議のほうが、よっぽど効率がよさそうだ。
ノスタルジックなニャンコ
2006-11-28 17:00:00
仕事の写真を整理していたら、最後に猫の写真が入っていた。
なぜこんなところに紛れているんだろうと考える。
そうだ、あの日だ。
小学生の頃、団地の下に住む野良猫の世話をしていた。
団地公認の野良猫で、住民みんなからかわいがられていた。
白と黒の美しい雌猫だった。
自宅で動物を飼えなかった私も、毎日のように猫に餌をやっていた。
毎日同じ場所でまどろむ彼女に会うことが放課後の楽しみだった。
彼女は野良猫なのに、まるで自分のペットのように思えて嬉しかった。
ある時彼女が姿を消すまで、私の小さな楽しみは続いた。
あの頃私の世界はとても狭くて、とても輝いていたように思う。
瞬間のノスタルジーに襲われて、私はシャッターを切った。
あまりにもあの猫に似ていたから。
すっかり忘れていた。

しばらく写真を眺めてから、再び仕事に戻る。
小学生の頃からライターになりたかった。
夢と現実は少し違ったけれど、私は今なりたかった仕事に就いている。
今日は徹夜も苦にならなそうだ。
Category : お昼寝ニャンコ1
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