ほんわかモード

2006-12-05 17:00:00

受験生たちも、そろそろ本気モード。塾講師の僕も、授業に気合いがはいる。「ゆとり教育」なんていわれていても、勉強はやっぱり大変なのだ。これから冬にかけて、子どもたちの表情はきびしさを増す。そんなある日。出勤途中の住宅街で、のんきなお昼寝ニャンコを見つけた。僕が近づいても、ふにゃん、と身体をねじってみせるだけで、逃げようともしない。秋の夕日に照らされ、ひくひく動くちいさな口元。いたずら心をおこして、彼のヒゲをかるく引っぱってみる。
 
ほんわかモード
 
……ふにゃん。お昼寝ニャンコは眠たげに首をひとふりすると、また夢の世界にはいってしまった。しあわせそうな顔つき。なぜ、眠っているニャンコたちの表情は、みんな笑顔にみえるんだろう。ゆるやかな時間。ふと腕時計に目をやると、時刻はもう4時半。はやく教室にいって、今日の授業の下しらべをしておかなくちゃ。ご機嫌な彼にわかれを告げて、仕事場への道をいそぐ。夜。必死で問題にとりくむ子どもたちをながめ、さっきのニャンコの顔が頭にうかんだ。
 
――君たちにも、はやくあんな表情で過ごせる日がきますように。

Category : お昼寝ニャンコ

暖かな昼下がり

2006-12-02 17:00:00

ここ最近は寒い日が続き、暦を見たらもう12月。そうか、もう冬なんだなと思ったのがつい昨日のこと。日が変わって、今日は一転して12月とは思えぬほどの陽気。天気予報でいっていた予想最高気温は16度だって。ひと月前に逆戻りしたみたい。こんな日はポカポカお日様にあたってお昼寝でもしたいな。なんて思っていたら、やっぱりいました、お昼寝ニャンコ。
 
暖かな昼下がり
 
気持ちよさそう。こんなに近くまでよっても気付かずにぐっすり。ニャンコのまわりを囲むように花が咲いていて、いい場所を見つけたねって思う。猫はお昼寝に絶好の場所を知っているっていうけれど、あれ本当だね。
 
毛が柔らかそうだったのでなでなでしたかったけど、飼い猫じゃないしこんなによく寝ているのにびっくりさせて起こしてもしまっても悪いから眺めるだけにしておいた。冬のお日様は貴重なもの。こんな至福の時を邪魔しては悪いもんね。お日様は暖かだし、ニャンコのおかげで心までポカポカ。なんだか得した気分。こんな日が週に1度はあるといいな。

Category : お昼寝ニャンコ

ノスタルジックなニャンコ

2006-11-28 17:00:00

仕事の写真を整理していたら、最後に猫の写真が入っていた。
なぜこんなところに紛れているんだろうと考える。
そうだ、あの日だ。

小学生の頃、団地の下に住む野良猫の世話をしていた。
団地公認の野良猫で、住民みんなからかわいがられていた。
白と黒の美しい雌猫だった。
自宅で動物を飼えなかった私も、毎日のように猫に餌をやっていた。
毎日同じ場所でまどろむ彼女に会うことが放課後の楽しみだった。
彼女は野良猫なのに、まるで自分のペットのように思えて嬉しかった。
ある時彼女が姿を消すまで、私の小さな楽しみは続いた。
あの頃私の世界はとても狭くて、とても輝いていたように思う。

時間に追われながら行った取材の帰り、見上げたところにこの猫がいた。
瞬間のノスタルジーに襲われて、私はシャッターを切った。
あまりにもあの猫に似ていたから。
すっかり忘れていた。


しばらく写真を眺めてから、再び仕事に戻る。
小学生の頃からライターになりたかった。
夢と現実は少し違ったけれど、私は今なりたかった仕事に就いている。

今日は徹夜も苦にならなそうだ。

Category : お昼寝ニャンコ

猫の会議

2006-11-24 17:00:00

急にぽっかり休みができた。
何をしようか悩んだ挙句、散歩に出ることにした。

久し振りにたくさん歩いた。
天気が良くて、とても気持ちがいい。
空気は冷たいのに、少し汗ばんでくる。
毎日せわしなく過ごしているわりに、ほとんど歩いていないことに気がつかされた。

あちこち寄り道していると、猫の会議に遭遇した。
声に出さなくても伝わるのか、お互い顔を見合わせたまま、黙って座り込んでいる。
しばらく見ていると、ギャラリーが気になったのかお開きになったようだ。


猫たちが去ったので、私も帰ることにする。
たくさん歩いて疲れているかと思ったら、気分転換になったのか逆に元気になった。
開く気になれなかったパソコンを開いて書類をチェックする。
今日は数字の羅列も苦にならない。

そうだ、明日は会議があった。
きっとまた、話し好きの課長に時間を拘束されるに違いない。
あ、うんの呼吸で会議が進めばいいのに。

猫の会議のほうが、よっぽど効率がよさそうだ。

Category : こそこそニャンコ

猫はにゃーにゃー

2006-11-20 17:00:00

言葉を覚え始めた息子は、目新しいものを見つけては「あれはー?」と聞いてくる。
それは道端に放置してあるバイクだったり、工事現場のブルドーザーだったり、目の前を猛スピードで通り過ぎていく車だったり。
私はその度に、「あれはね、ばいく。あれはね、ぶるどーざー。あれはね、ぶーぶー」と機械的に答える。
だって保育園に向かう自転車を漕ぐのに必死なの。
朝は戦争なんだから。ひたすら前を見て、車にぶつからないように、あの信号に間に合うようにって、頭の中はそればかり。

「あれはー?」
今朝もまた、義務的に息子の指差す方向を見る。

そこには、一匹の猫。
日向でごろんと横になったまま、おなかをぺろぺろと舐めていた。


一瞬で通り過ぎて、「あれはね、ねこ、だよ」。
いつもと同じように答えると、息子は頭をひねって私を見た。
「にゃー?」。

・・・あれ?私、猫がにゃーって鳴くって、教えたっけ?

なぜだか、いつもの道をちょっとだけ遠回りしてみる気持ちになった。
疲れるからといつもは避けて通る坂道。
懸命にペダルを漕いで登りきると、待っているのは急勾配。
ペダルを放して一気に降りる。
息子がきゃー!と歓声を上げる。
私の髪を風がなでる。
冷たい空気を感じて、もう冬が来るんだなぁって思う。

保育園までの道のり、息子は楽しそうに「にゃー!にゃー!」と鳴き真似を続けた。
それを聞いていたら、なんだかとっても嬉しくなった。

あの猫が、明日もまたあの場所にいてくれるといいな。

Category : お昼寝ニャンコ

肩身が狭い同士

2006-11-17 17:00:00

煙草の値段があがり、あらゆる場所で分煙化が進んでいる。街中では禁煙の場所も増え、愛煙家は肩身の狭い思いをさせられている今日この頃。職場も当然のように全面禁煙である。唯一の喫煙場は、屋外に立てられた猫のひたいほどのプレハブ小屋だ。
仕事が深夜まで長引き、ひと息いれようと立ち寄ったプレハブ小屋から出ようとすると、ガラス越しにキラリと光る目と目があった。


最近この辺りでよく見掛ける三毛の野良猫だ。

11月ともなれば朝晩は冷え込むし、さらに今晩は雨も降っている。
雨風あたらない場所を探しているのかな…
でも『建物にノラネコを入れないでください』って、そこら中に張り紙が貼ってあるしな…。
困ったな、と思いながら引き戸を開ける。

私の足元をすり抜け、素早く小屋にすべりこむ…という安易な予想を裏切り、しゃがみこむ私の隣でおもむろに毛づくろいを始めた。
ひとしきり小綺麗になる儀式を終えると、私を見てひとこえ、ニャァ。

そうか。おまえも普段煙たがれて、肩身の狭い思いをしているのだね。
今度は迷わず、こっそりプレハブ小屋に入れてやろう。

Category : こそこそニャンコ

駐車場のトトロ

2006-11-15 17:00:00

3年ほど前の話。その猫はいつも同じ場所にいた。川沿いの小さな書店の向かいにある駐車場が彼の城だ。自宅と学校の中間あたりに位置するその場所を通る度、わたしは猫の様子を観察する。
その猫はあまり活発ではなく、どちらかというとおっとりタイプ。近所の住人にかわいがられているらしく、おばあさんや小学生にエサをもらっている場面を何度も見かけた。
ジブリ作品が大好きなわたしは、平和なオーラを醸し出すその猫を「トトロ」と名付けた。


毎日トトロを見るのが日課になっていたのだけれど、ある朝、トトロがいなかった。朝も夕方も見かけない、というのははじめてだった。次の日も、その次の日も、トトロは姿をあらわさなかった。
事故にあったのかも…、と気になっていたのだけれど、そんな心配は無用だった。
次の朝、トトロは当たり前の顔で、いつもの駐車場にいた。
わたしはなんとなくうれしくなって、トトロに近づいた。
首の下をさすりながら、
「どこにいっていたの?」と聞いてみる。
もちろん返答はない。
「サツキやメイと遊んでたんでしょ」
トトロは相変わらず知らんぷり。
でも、その表情は笑っているように見えなくもなかった。

Category : 子どもニャンコ

警戒するニャンコ

2006-11-13 17:00:00

前の会社を辞めてから、もうすぐ1年がたつ。次の就職のめどはまだ立たない。
前職にはどうしてもやりがいを感じられず、後先考えずに辞めてしまった。
しばらくはのんびりするのもいいかな、なんて思っていたのだけれど、グータラ生活も1周年をむかえて、さすがに貯金も乏しくなってきた。
働かなきゃいけないとは思うのだけど…どうにもやる気が出ない。人間はどうして働かなくてはいけないのだろう?…なんて子どものような悩みを抱きつつ、漫画喫茶でまったりしようと外に出る。
黒い猫がいた。目つきが鋭く、かなり男らしい猫だ。

 
猫は思いっきり警戒しているが、猫好きな僕としてはちょっかいを出さずにいられない。とりあえず写真をパチリ。猫はまだじっとこっちを睨んでいる。
スキンシップを図ろうと近づくと、猫はするどく身を返し、ものすごい勢いで逃げ去っていった。そんなに嫌わなくても…と悲しくなると同時に、猫の警戒心の強さに少し感動した。あの猫は生きていくことの大変さを知っている。
猫だって人間だって、生きるためにはいろいろやらなくちゃいけないことがある。
僕はコンビニで就職情報誌を購入し、自宅へ戻った。

Category : 子どもニャンコ

3匹のニャンコ

2006-11-07 17:00:00

馬車馬のように働いて、ようやく手に入れた連休。
しかし日頃のつきあいの悪さがたたってか、休日を一緒に過ごす友だちはだれ1人つかまらない。しかたないので、コンビニで弁当を買い、近くの公園で食べることにした。特に心躍るプランではないけれど、自宅にこもってテレビと向き合っているよりはましだろう。休日だというのに、公園にはだれもおらず、3匹の猫がひなたぼっこをしている。公園内はまるで人間界とは別の場所のように、とてもゆっくりした時間が流れている。締め切りとか効率といった言葉は、ここには必要ない。

 

弁当を食べていると、においを嗅ぎつけたのか、1匹の猫がやってきた。
僕の足にすり寄っている。おなかが空いているのだと思うのだけど、残念ながら弁当はあらかた食べてしまった。かろうじて残っていた漬け物をあげてみると、一度ほおばったのだけど、すぐに吐き出してしまった。びっくりしたようなその仕草がおかしくて思わず笑みがこぼれる。そのあと猫は僕から砂場へと移動して、昼寝。僕は持ってきた小説を開く。3匹の猫と僕は、日が沈むまで公園にいた。

Category : お昼寝ニャンコ

ニャンコに癒される

2006-11-01 17:00:00


編集者ほど、女扱いされない職業はないと思う。徹夜続きでフラフラになりながらも、今日も作家との打ち合わせのため新宿から横浜へ。気難しいセンセイのご機嫌取りに、疲労困憊。這うようにして横浜駅に戻る途中、かわいい子ニャンコが、「ニャー」とわたしを呼び止めた。


10分くらい一緒に遊んだだけで、疲れがすっかり癒されるから不思議。ムッスリしていた顔が、いつの間にかニッコリになっているのが自分でも分かる。眉間に皺が寄ったときは、また会いにこよう。

会社に戻ると、今度は企画書作り。「今日は絶対、終電までに帰る!」いつもの3倍速でタイピング。頑張った甲斐あって、終電ギリギリで中央線に滑り込めた。最寄り駅から徒歩10分のアパートへ、急ぎ足で帰る。
真っ暗な我が部屋に、3日ぶりに帰還。台所にたまった洗い物だけが、わたしを待っていた。ポーチからデジカメを取り出し、昼間のニャンコと再会。ヨシッと気合を入れなおして、エプロンを締めた。

Category : 子どもニャンコ

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