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何かいいたげなニャンコ
2007-01-21 17:00:00 Category : 美人ニャンコ
通勤途中で見かけるニャンコ。
そのコはほぼ毎日、僕がそばを通るとこちらを見あげては、何かを話したそうな表情を浮かべる。
最初にそのコを見かけたときに、僕は学生時代に付き合っていたある女のコを思い出した。だから、必然的にその名前を借りて「キミコ」と呼ぶようになったのだ。
はじめの頃はそれこそ僕の存在なんてまったく無視していた猫の「キミコ」だったんだけど、そのうち僕の熱い視線を意識するようになってか、やがて僕のそばへと近寄ってくるようになった。その自然な流れが、ますます人間の「キミコ」とのことを思い出させるハメになったのだった。
僕と人間の「キミコ」はお互いにもっとも多感な時期に、もっとも多くの喜びを共有し、そしてもっとも多くの「人間の嫌な部分」をぶつけ合って過ごした。交わした言葉は温かいものもあったし、辛らつで恐ろしいものもいくつかあったような気がする。お互いに言葉の意味を探りあい、その向こう側に存在する相手の実体を掴もうと必死になっていた。
そして、付き合い始めた時のように僕らは自然に離れていって、あれからもう10年。風の噂によると、とっくのとうに故郷に引っ込んで結婚したっていう。
それを耳にしたときに…「それでいいんじゃないか?」って、僕は自分に対して、言い訳めいた慰めの言葉をかけたのを覚えている。
猫の「キミコ」は一体何を僕に語ろうとしているのかわからないけど、少なくとも、人間の「キミコ」と交わしたあれだけ多くの言葉よりも意味のあるものとは思えない。でも…と、僕は思う。
「それでいいんじゃないか…」
僕は猫の「キミコ」の穏やかな表情を見つめながら、そうつぶやいた。

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