雨の日の情景
2007-03-26 17:00:00 Category : のんびりニャンコ
そのネコを見かけたのは、ずいぶん前のことだった。
娘がまだ小学校にあがる前のことだから、もう5年くらいは経つんじゃないだろうか。
あれは雨の日だった。
幼稚園のお迎えの帰り道。最初に気づいたのは娘だった。
家の脇の路地の隅、雨を避けるように軒下で丸くなっていた子ネコ。
娘が「可哀想…」なんて言いながらそばに寄っていっても微動だにしなかったけど、黄色い傘を差し伸べてあげると、にゃあと小さくないた。
何かえさをやりたいという娘と一緒に一度家に帰り、牛乳を小皿に注いで戻ってきたときには、もうその姿はなかった。
「どこにいったんだろうねぇ…」
なんて、心配そうな声をあげていた娘。
そんな顔を見て、優しい娘に育ってくれたな、なんて嬉しく思っていたのだが…。
今では、すっかりやんちゃで気が強い女の子になってしまったのは、
「お前に似てきたからだよ」
なんて夫が言う。
私と娘が一緒になって、パパをしかったりすることもあったり、日に日に私に似てくる娘と私の衝突もあったりで、我が家は毎日にぎやかなものだ。
娘が元気よく学校から帰ってくると同時に大きな声。
「家の前にネコちゃんがいるよ、ママ!」
その声に玄関の小窓から顔を出して覗いてみると、
「ねえ、ママ、覚えてる? 私がちっちゃいとき、雨の日に震えていたネコ! きっとあの子が帰ってきたんだよ!」
なんていわれて、やっと思い出した私。
そんなこと、よく覚えていたね。
でも、もしかしたら違うネコかもよ、なんてことは言えずにいると、娘が続ける。
「なんか、元気そうで良かった。ずっと、心配してたんだ」なんて。
きっと、今突然思い出しただけなんだろうけど、それでもなんだか、そんな気持ちになってくれたことがちょっと嬉しかった。
勉強なんかできなくたっていいよ。
優しい女の子に育っておくれ…。
なんて、心の中で思う私だった。

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